放射性廃棄物の撤去を求めて千葉県を提訴

 1月7日、我孫子市民31名、印西市民1名が原告となり、手賀沼終末処理場の敷地内に保管されている放射性物質に汚染された焼却灰(1キログラム当たり8000ベクレルを超える特措法に基づく指定廃棄物)の撤去を求めて千葉県を提訴しました。

 柏市、流山市、松戸市から搬入された526トンの指定廃棄物の一時保管問題については、原告ら地元住民46名が申請人となって、平成24年12月13日に国の公害等調整委員会に施設の安全性を高めるなどを求める調停を申し立て、これまでに5回にわたる調停が行われました。

 しかし、千葉県は、住民からの真摯な施設の改善要望、ぎりぎりの妥協案すら一顧だにせず、調停においても合理的な理由も説明せずに本件施設の安全性を唱え続けるだけでした。そのため、調停は、平成25年12月19日、成立の見込みがないとして打ち切られました。

 最終処分場の決定が困難な状況の中、一時保管施設に搬入された指定廃棄物が本当に保管期限である平成27年3月末までに撤去され、原状回復されるか甚だ不透明であり、原告ら住民の間には、一時保管施設ではなく最終処分場になってしまうのではないかとの不安すら広がっています。

 原告ら地域住民が一時保管施設から指定廃棄物の撤去を強く求めている理由は、なにより本件施設が大変危険な施設であるからであります。

 一時保管施設の設置されている手賀沼終末処理場は、利根川と手賀川に挟まれた軟弱地盤の低湿地帯であります。

 我孫子市作成の「洪水ハザードマップ」によると利根川が大雨により増水し堤防が決壊した場合、浸水深5メートル。

 「揺れやすさマップ」によると、我孫子市直下の地震を想定した場合、震度6.2強の市内で一番強い揺れの地域。

 「液状化危険度マップ」によると、液状化の可能性が『極めた大きい』地域。

 「建物全壊率マップ」によると、建物の全壊率『30%以上』の地域となっています。

 実際、平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、近くの我孫子市布佐地域において、液状化による甚大な被害が発生し、現在、復興途上にあります。

 前記したように、一時保管施設の立地は大変危険であります。一時保管施設に浸水した場合、大量の放射性物質が手賀川や利根川に流出し、周辺地域に放射性物質が流れ出し、更に、下流の千葉県及び茨城県も汚染されます。また、利根川は水道の水源であり、下流域の住民にも健康被害が広がり、利根川が流れ込む太平洋も汚染され、さらなる健康被害、環境破壊等も生じます。

 また、一時保管施設は、簡易な「テント倉庫」であり、風速毎秒27.2m(基準風速34mに低減係数0.8を乗じた風速)までは耐えられるとしているが、台風や竜巻等でそれ以上の強風が吹くことも想定され、その場合、テントが破れフレキシブルコンテナから焼却灰が飛散する可能性が無いとはいえません。

 上述しただけでも、本件施設で指定廃棄物を保管する危険性は明白であり、それが調停が不調となった今、提訴に踏み切った一つの理由であります。

 また、もう一つの理由は、調停であらわになった千葉県の高圧的で住民無視の姿勢は行政庁として失格であり、看過できないということであります。

 住民の生命や安全・安心に関わる重大事項については住民合意に基づいて決定することが民主主義のプロセスであります。

 今回、調停の不成立を受けて、「本件施設から漏出した放射性物質が原告らの生命・身体及び財産権を侵害する蓋然性があることから、人格権に基づく妨害排除・予防請求権を理由(請求原因)として、本件施設において放射性物質に汚染された本件焼却灰を管理している千葉県に対し、本件施設からの本件焼却灰の撤去を求める。」民事訴訟に踏み切りました。

 話し合う姿勢のない千葉県に対して、22名の弁護士の協力を得て、心ならずも提訴することとなりましたが、「裁判所が、住民の生命・身体等の基本的人権を擁護するための最後の砦」とならんことを期待しています。

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コメント: 1
  • #1

    細谷暁夫 (日曜日, 12 1月 2014 00:04)

    こんばんは

     この訴訟の原告の一人です。
    内田さんのブログをほぼコピペして、私のブログページに掲載させて頂きました。
    http://akiobongo.wordpress.com/2014/01/11/放射性廃棄物の撤去を求めて千葉県を提訴/
     今月末の新木近隣センターの集会に出席します。
         細谷暁夫


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