パリCOP21の報告

 一昨日の夜、都内でCOP21に参加した東北大学の明日香壽川教授の報告会に参加しました。

 今回の会議では、2014年に、干ばつや洪水で難民となった人が1650万人出たことを受けて、世界の平均気温を工業化以前から2℃未満に維持、1.5℃未満への努力を継続、事実上の人為的化石燃料の排出を21世紀の後半には0にする等が長期目標になりました。2009年のコペンハーゲン合意や2010年カンクン合意でも言及されていましたが、パリ協定では法的拘束力が強くなったということです。

 また、コペンハーゲンで決定された現在の先進国による2020年までに毎年1000億ドルの途上国への資金を、2020年以降1000億ドルを下限にして増加させることになりました。一方、途上国が要求した「新規」「追加的」「十分な」「予想可能で持続的な」「拡大された」「公的資金の重視」などの資金に関する条件を先進国は受け入れませんでした。

 5年ごとの目標見直しと低炭素発展計画の策定・通知など各国目標の上方修正を促す仕組みが取り入れられたことを高く評価する声は大きいものの、その効果は未知数であり、被害の激化や市民社会からの圧力が不可欠であるとのお話でした。

 また、明日香教授は、パリ協定が日本政府のエネルギー・温暖化政策に与える影響は、残念ながら少なくとも短期的には限定的だろうとの予測を示され、その理由として、現政権は、化石燃料会社、大手電力会社、大手重電メーカー、エネルギー多消費産業を支持基盤としているからとの見解を示されました。

 さらに、ここ数年、今までの化石燃料会社に流れていたお金が、省エネや再生可能エネルギーへの投資などに流れる動きが加速されており(投資の撤収divest)、パリ協定がビジネスに与える影響は非常に大きいとの見解も示されました。

 そして、すぐに世の中は変わらないが、変わるところから変わっていくともお話しされていました。

 パリ協定という合意に至る舞台裏のお話、たとえば、アメリカが参加できるようにするため、途上国への資金供与をアメリカ議会にはかる必要のない「合意」ではなく「決定」事項としたというお話などは、大変興味深いものでした。


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