国の補正予算について

 昨日の国×地方政策研究会では、国の平成27年度補正予算についての国の職員からの説明と質疑応答がありました。

●追加歳出は、1.一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策等として1兆1646億円。2.TPP関連政策大綱実現に向けた施策3403億円。3.その他(災害復旧・減災事業5169億円、復興の加速化等8215億円等)1兆9981億円で、合計額は3兆5030億円。

●地方交付税交付金の増額1兆2651億円。

●財源は税収増、前年度余剰金で確保。平成27年度のPB(プライマリーバランス)赤字半減目標は堅持。

●平成26年度補正予算に引き続き新規国債発行額の減額(4447億円)を行うという概要でした。

 平成27年度補正予算の中で、地方にも関係のある特に気になっている事業が2つあります。一つは年金生活者等支援臨時福祉給付金(3390億円)です。アベノミクスの恩恵を受けない年金生活者1人につき3万円を給付するというものです。

 また、もうひとつは地方創生の本格展開として地方創生加速化交付金1000億円です。これまでの国の地方創生交付金は、26年度補正予算で地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金、先行型交付金が基礎交付として1400億円、27年度当初予算で上乗せ交付金が300億円地方に交付されました。地方自治体はこれらの交付金を得るために国の出した条件に従って地方版総合戦略の策定を行いました。

 しかし、平成27年度補正予算では一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施として加速化交付金1000億円が計上されています。これは、これまでの優れて地方創生のための事業を参考にして各自治体で地方創生を加速させるというものですが、もう既にほとんどの自治体では総合戦略を策定してしまっています。

 どこの自治体でも、今回の3月補正予算に計上された加速化交付金を得るために、3月頃行われる予算委員会に向け、また今年も大変な作業が行われることでしょう。

 ここ数年、国は3月の補正予算で地方創生のための交付金を計上しています。それを受けて自治体では十分な準備もないまま予算獲得のために事業を構築します。当然、3月の補正予算が採択されても、事業実施は次年度へ繰り越されることになります。このような補正予算では自治体にとって最適な事業を構築することはできません。また、無駄も生じやすいと考えます。

 2000年に地方分権一括法が施行され、地方自治体は地方政府として政策的にも財政的にも自立が求められました。地方の特性を生かし、住民の意向に沿った地域づくりが求められていたはずであります。

 しかし、最近の国のやり方は地方分権に逆行しています。国の意向に沿った計画を策定させ、それを審査し、そこにお金を分配する。最近、まさに中央集権化が進んでいるように思います。 


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